「杭がない」時にやること:資料調査から復元まで

境界杭が見当たらない――そんな時こそ、勝手に杭を打たない・動かさないのが鉄則。正しい手順で確認・測量・立会いを行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

まず「やってはいけない」こと

  • 自己判断で杭を設置・移動しない
  • 古い杭を抜かない/掘り返さない
  • 隣地への無断立ち入りや作業をしない

復元までの基本フロー

  1. ヒアリング:いつ・どこで杭が無くなったか、外構工事や地震・車両接触などの有無を確認。
  2. 資料調査:公図、登記簿、地積測量図、過去の境界確認書、道路台帳、基準点情報などを収集。
  3. 現地踏査:残存境界標・痕跡・工作物(塀・擁壁・U字溝)との位置関係を確認。
  4. 測量計画・基準点設置:測量の計画をします。
  5. 現況測量:敷地形状、既存境界標、構造物、道路境界を計測。
  6. 図面・資料と現地の整合検証:誤差要因(縮尺・座標系・改良履歴)を解析し、復元位置を特定。
  7. 隣接立会い:隣接所有者等と位置を確認。必要に応じて行政(道路・水路)と官民境界協議。
  8. 境界標の設置:確認後に杭を設置。

※筆界(公法上の境界)を動かすことはできません。面積が異なると判明した場合は、地積更正登記等で登記記録の正確化を検討します。

ケース別の対応

1本だけ無い/欠けている

残る他点と図面から位置再現が可能な場合は仮復元→立会い→本設置

既設杭がズレている可能性

ズレの疑いがある場合は現況測量と資料整合を行い、立会いをし杭の復元を行います。。

官地(道路・水路・里道)に接する

市区町村等との官民境界協定・査定が必要なケースがあります。先に担当課と手続・スケジュールを調整します。

古い図面・資料が無い/不鮮明

周辺筆の資料、公共基準点・既存境界標、構造物の位置関係から合理的復元を試みます。確定測量を行うことがほとんどです。

復元杭の種類と耐久性

  • コンクリート杭:耐久性・視認性が高い。
  • 金属標(ステンレス):舗装面やコンクリート天端に設置が可能。
  • 標識鋲:仮復元や柔らかい土質に。

場所・土質・将来の舗装計画に合わせて最適な標識を選定します。

費用・期間の目安

規模・隣接筆数・官民協議の有無で大きく変動します。あくまで参考として:

  • 私有地同士で角点1〜2点を復元:数万~数十万円程度
  • 全周の境界確定測量(立会い・図面一式):数十万〜100万円台(面積・隣接件数に比例)
  • 官民境界協議・筆界特定の併用:別途期間・費用が必要

期間は、資料収集〜測量〜立会いで数週間〜数か月が一般的。売買・工事・相続の期限がある場合は早めに動くのが安心です。

トラブル予防のコツ

  • 売買・外構工事・解体の前に現況の確認・写真記録・杭保護を行う。
  • 近隣への事前説明で立会い日程をスムーズに。
  • 相続・贈与に向けては、境界確定測量と図面整備を先行しておく。

事前チェックリスト

  • 過去の図面(地積測量図・境界確認書・開発図)を探したか
  • 杭が無くなった時期・理由の見当(工事・車両・越境解消など)があるか
  • 売買・融資・工事など、期限や背景事情があるか
  • 官地に接しているか(道路・水路)

よくある質問

自分で杭を打ち直してもいいですか?

おすすめしません。位置が違うと境界トラブルの原因になります。まずは資料・現況の確認と、隣接立会いが先です。

道路側の境界が分かりません。

市区町村等との官民境界の確認(査定・協定)が必要な場合があります。先に担当課と手続きを調整します。

地積測量図が無いのですが復元できますか?

周辺資料・現況測量・基準点から合理的復元を試みます。確定測量を行うケースがほとんどです。面積差が大きい場合は地積更正登記を併せて検討します。

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