相続登記義務化の要点と測量の役割
yoshiaki2024年4月から、不動産を相続したら一定期間内に相続登記を申請する義務が課されました。
本記事は、「何がいつまでに必要か」を測量の観点から整理します。
義務化の概要（期限・罰則・経過措置）
いつまで？
- 相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請。
- 2024年4月1日以前の相続も対象（経過措置）。この場合は施行日から3年以内（= 原則2027年3月31日まで）に申請。
罰則（過料）
- 申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象。
- 正当な理由があれば柔軟に考慮されることも（例：相続人調査に時間を要する、遺産分割が未了など）。
※あわせて「住所・氏名変更登記」にも申請義務（原則2年以内）が課されています。相続登記と同時に確認すると効率的です。
測量が必要になる典型ケース
| 状況 | 必要となりやすい手続 | 測量のポイント |
|---|---|---|
| 遺産分割で敷地を分けて相続 | 分筆登記 | 境界確定測量→筆界確定→分筆案作成。共有解消や持分調整にも有効。 |
| 登記面積と実測面積が合わない | 地積更正登記 | 現況・資料調査→近隣立会→面積確定。融資・売却・課税の適正化に直結。 |
| 地目が現況と異なる（畑→宅地など） | 地目変更登記 | 用途・状況の確認、必要に応じて測量図面を整備し現況を明確化。 |
| 境界標が不明・古い図面しかない | 境界確定測量 | 公図・地積測量図・各種資料を突合。立会い記録（境界確認書）で紛争予防。 |
| 家屋の未登記・内容相違 | 建物表題登記／表題変更・滅失登記 | 現地実測・床面積算定・構造確認。固定資産税・売買時のトラブル予防。 |
フロー：相続登記 × 測量の段取り
- 初期診断（1〜2週）：登記事項証明書・公図・地積測量図・固定資産台帳を収集。相続関係（戸籍・法定相続情報一覧図）を確認。
- 測量要否の判定：遺産分割の方針（共有か分筆か）、境界不明箇所、図面の新旧、面積相違の有無をチェック。
- 測量・立会い（3〜8週）：必要に応じ現況／確定測量を実施。境界標の復元・設置、立会い記録を作成。
- 図面整備と登記方針確定：分筆案・更正要否・地目変更要否を確定。遺産分割協議書の文案に反映。
- 相続登記の申請：遺産分割協議書・相続関係書類・図面類を添付し申請。必要に応じて分筆／地積更正／地目変更／建物登記を連携申請。
- 完了・名義切替後のメンテ：住所・氏名変更登記の有無、固定資産税の名義変更、境界標の保全方法を案内。
複数筆・私道共有・公共境界（道水路）を含む案件は、役所協議が入るため余裕ある工程設計が肝要です。
必要書類チェックリスト
相続関係
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式
- 相続人全員の現在戸籍・住民票の除票等
- 法定相続情報一覧図（あると便利）
- 遺言書（公正証書・自筆）／遺産分割協議書
不動産関係
- 登記事項証明書（全部事項）
- 公図・地積測量図・地図に準ずる図面
- 固定資産評価証明書・名寄帳
- 古い境界確認書・実測図・敷地求積図 等
費用と期間の目安
| 項目 | 期間の目安 | 費用の目安（税別） | 備考 |
|---|---|---|---|
| 現況測量（境界標あり） | 2〜4週 | 15〜30万円 | 規模・筆数・接道により変動 |
| 境界確定測量（立会い含む） | 2〜3か月 | 40〜120万円 | 官民・民民の協議数で変動大 |
| 分筆登記 | 測量完了後2〜4週 | 10〜30万円/分筆 | 筆数・図面整備の難易度で変動 |
| 地積更正登記 | 測量完了後2〜4週 | 10〜30万円 | 範囲・相違率・資料整合で変動 |
| 地目変更登記 | 3〜4週 | 5〜10万円 | 現況写真・疎明資料の準備要 |
※上記は一般的なレンジです。都市部・広大地・高低差・官有地接道・越境物の有無等で増減します。
よくある質問
Q. 測量は必ず必要？
単純に名義を移すだけで境界や面積に問題が無い場合は省略可能なこともあります。ただし、分筆・売却・融資・地目変更・面積相違が絡む場合は測量が実務上ほぼ必須です。
Q. どの専門家に相談すればよい？
土地家屋調査士：測量・境界・表示登記（分筆・地積更正など）。
司法書士：相続登記（権利登記）・相続関係書類の整備。
両者が連携することで工程短縮と整合性の高い書類作成が可能です。
まずは無料相談
図面・登記事項・相続関係の確認だけでもOK。
「測量が必要か／いつまでに何をすべきか」を最短ルートでご提案します。
お急ぎの方は「相続の発生日」「相続人の数」「土地の所在地・地番」「古い図面の有無」をお知らせください。
ご相談・対応エリア
タケキヨ測量登記事務所は境界確定／表題・滅失登記／地積更正・地目変更／現況・確定測量などの業務を対応している千葉県船橋市の土地家屋調査士事務所です。相続や売買、建築前の境界の不明確さや不動産登記でお困りならご相談ください。
千葉県：船橋・市川・習志野・鎌ヶ谷・白井・八千代・千葉・松戸・柏・我孫子 ほか
※本記事は一般的な解説です。個別案件は前提条件により結論が異なります。実務判断は専門家にご相談ください。
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