登記記録の「所在」欄に字・小字を記録する理由とポイント

不動産登記の「所在」は、市区町村名だけでは不動産の特定が粗すぎるため、より細かな行政地名である 「字(あざ)」「小字」まで記録する。

字・小字を記録する法的・歴史的背景

表示に関する登記(表題部)の「所在」は、不動産を特定するための呼称であり、地名の最小単位まで用いるのが原則です。

現行では、旧土地台帳・家屋台帳やそれを運用した各種取扱要領の考え方を継承しており、所在を 「市区町村名 +(必要に応じて)字・小字」まで表示する運用が確立しています。

※ここでいう「字・小字」は、行政区画としての町丁名より細かい歴史的地名で、地番付与や公図索引の単位として機能してきました。

「所在」欄に記録する意味と狙い

  • 特定性の向上:同一市町内で同名地番が重複しないよう、字・小字を併記して検索・照合を容易にする。
  • 現況把握の正確化:旧来の公図・地番区域・実測図との突合がスムーズになり、錯誤・取り違いを防止。
  • 取引の安全:登記事項証明書における所在表示が詳細になることで、売買・担保設定・境界手続の安全性が高まる。

地番区域・大字・小字の関係

用語主な役割所在欄との関係
大字(おおあざ)広い歴史的地名。旧村名に相当することも。町丁名に加えて大字名を付す自治体もある。
字・小字大字の下位。地番・公図の索引単位として機能。特定が容易になるため、所在欄へ積極的に記録。
地番区域地番が付される範囲。通常は所在と一致することが多いが、必ずしも一致しない。一致しない場合は、所在欄に小字を記載して混同を防止。

重要:所在は常に地番区域と一致するわけではありません。大字の中に複数の地番区域(=小字)がある自治体では、所在欄に「小字」を記録して区分します。

字・小字が「入る/入らない」主なケース

(1)入るケース

  • 市区町村名だけでは同名地番が重複し得る地域
  • 公図・地番区域が小字単位で編成されている地域
  • 旧慣で所在に小字を表示しており、登記簿・証明書の継続性を確保すべき場合

(2)入らないケース

  • 町丁名が細分化され、字を付記しなくても特定性が足りる地域
  • 自治体の住所制度改正等で、字名が廃止・統合され、公図索引も町丁単位へ移行している場合

売買・測量・相続でのポイント

  • 売買契約書:登記事項証明書の所在と一致させる。字・小字抜けは同一性争いの火種。
  • 測量図面:表題欄の所在表示に字・小字を入れ、地番区域境界の注記を併記すると誤読を防げる。
  • 相続手続:評価証明・名寄帳の所在表記と登記の所在表記が違うことがある。

よくある質問

Q. 住居表示の街区符号だけで良いですか?

A. 住居表示は住所、登記の「所在」は登記地名です。原則として登記の所在表記(字・小字を含む)に従います。

Q. 大字は記載するのに小字は省略されている証明書があります。

A. 地域運用によっては大字で足り、小字を省くケースもあります。公図・登記記録の既存記載を基準に判断しましょう。

まとめ

  • 所在欄に字・小字を記録するのは、不動産の特定を精密にし、取引の安全を確保するため。
  • 所在は地番区域と一致することが多いが、必ずしも一致しない

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