表示に関する登記と「登記申請義務」をわかりやすく解説
土地・建物の実際の姿(物理的現況)を正確に公示するのが「表示に関する登記」です。
本稿では、なぜ申請期限があるのか、どんなときに義務が生じるのか、期限を過ぎた場合の扱い、実務上の注意点までを一気に整理します。

表示に関する登記とは?
不動産登記記録のうち、権利関係ではなく物理的現況を公示する部分(表題部等)に関わる登記の総称です。
例:所在地・地番・地目・地積(面積)・家屋番号・種類・構造・床面積など。
新しく土地・建物が生じたとき、または現況に変化があったときに、速やかに登記記録へ反映させ、取引の安全・円滑化に資することが目的です。
なぜ「登記申請義務」があるの?
表示登記は、権利の客体である不動産の現況を正確に公示し、現地と登記記録の同一性を確保する仕組みです。
未登記の建物が存在したり、登記と現況が食い違ったりすると、取引の安全性が損なわれ、制度への信頼が低下します。
このため法は、一定の表示登記について所有者等に申請期限を課すとともに、遅滞時には登記官が申請を催告し、さらに過料の対象となり得る仕組みを置いています。
いつまでに申請する?(起算点の基本)
- 新たに土地が生じた/建物を新築したとき:原則として所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請。
- 土地・建物の物理的状況が変わったとき(地目変更、地積更正、合体・種類や構造・床面積の変更 等):変更の日から1か月以内に変更の登記を申請。
- 滅失したとき(土地の滅失・建物の滅失):滅失の日から1か月以内に滅失登記を申請。
申請義務が課される主な表示登記
- 土地の表題登記
- 地目の変更登記
- 土地の滅失登記
- 建物の表題登記
- 建物の表題部の変更登記(種類・構造・床面積 等)
- 建物の滅失登記
これらは「現況の適正・迅速な公示」を図るため、期限内申請が義務付けられています。
期限を過ぎたらどうなる?
期限内に申請しない場合、登記官から申請を催告されることがあります。
正当な理由なく放置すれば、過料に処されることがあります。
いずれにせよ、気づいた時点で速やかに申請することが最善です。
実務ポイント(ミスを防ぐチェックリスト)
- 起算日の確定:引渡日・所有権取得日・完成日・滅失日・変更の発生日などを客観資料で把握。
- 先後関係:表題登記 →(必要に応じ)権利登記。書類の準備順もこの流れで。
- 未登記の把握:新築後の未登記・滅失未登記はトラブルの温床。早期に是正。
- 書類・現地:実地調査・写真・図面・確認済証や検査済証等、裏付け資料を整理。
よくある質問
Q. 誰が申請者になりますか?
A. 原則は所有者です
Q. 期限を過ぎてしまいました。どうすれば?
A. 直ちに必要書類を整えて申請してください。催告や過料の対象となり得ますが、速やかな是正が重要です。
まとめ
- 表示登記は現地と登記の一致を確保するための基盤。
- 新生(新たな土地・新築建物)・変更・滅失は1か月以内が原則。
- 迷ったら早めに専門家へ相談するのが最短ルート。
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