日本の土地の所有権の歴史――公地公民から私有へ、そして現代の課題まで
日本の土地制度は、古代の「公地公民」思想から始まり、荘園制・武家政権、江戸の石高制を経て、明治の地租改正で私有権が明確化されました。
戦後の農地改革や都市化を通じて現在の不動産登記・権利体系に至るまでを、測量・登記の視点でわかりやすく整理します。

古代~律令制:「公地公民」と私有化の芽生え
律令国家では基本理念として公地公民(土地と人民は国家=天皇のもの)とされ、班田収授法により口分田が配分されました。
一方で、開墾の奨励や国家財政の事情から、墾田の私有化が徐々に認められ、やがて荘園(私的な領域)が拡大します。
これが中世の土地制度の土台となりました。
中世:荘園制と武家政権――重層的な土地支配
中世には、貴族・寺社などの領主が支配する荘園と、公領が併存しました。
荘園では、領家・本所(上級の権利主体)、現地を管理する荘官や武家の地頭など、複数の層が土地に関与する体制が成立。
所有・支配・年貢徴収などの権限が分化し、権利が重層的に積み重なるのが特徴でした。
近世(江戸時代):石高制・名請人と共同体
江戸幕府は全国を石高制で把握し、年貢を基盤とする統治を確立。
名目上の最終所有は藩・領主側にあり、百姓(名請人)は耕作・年貢負担の主体でした。
村落共同体は入会地の利用や検地帳・名寄帳などを通じて土地管理を行い、実務上は「耕作者の権利」と共同体の規律が強く機能していました。
近代(明治):地租改正と近代登記・私的所有権の確立
版籍奉還・廃藩置県を経て、1873年の地租改正によって土地は価格(地価)で評価され、税は金納が原則に。
これに伴い、所有者を国が把握するため地券の発行が行われ、土地の私的所有権が近代的に位置付けられていきます。
その後、民法の制定や不動産登記制度の整備により、所有権・担保権(抵当権)・地役権などの権利が条文化・登録制度のもとで明確化され、売買・相続・担保といった近代的な不動産取引が全国で可能になりました。
戦後:農地改革と都市化・区分所有の拡大
戦後の農地改革では、地主の保有制限と小作地の解放が進み、自作農が大幅に増加。
農地の所有・利用の在り方は大きく変化しました。 高度経済成長期には都市への人口集中が進み、区画整理や再開発が各地で実施。
共同住宅の普及に合わせて区分所有(マンションの専有・共用)制度が整い、土地・建物の権利は多層化・複雑化していきます。
現代:多様化する権利と「所有者不明土地」などの課題
現在の不動産実務では、所有権・借地権・地上権・地役権、さらには区分所有・敷地権、都市再開発に伴う権利変換など、権利関係は多様です。
一方で、相続未登記などにより所有者不明土地が増える問題、人口減少地域での未利用地の管理、災害対応やインフラ整備における合意形成の難しさなど、公と私の調整が改めて問われています。
測量・境界確定・表示登記は、こうした課題解決のための基盤情報を整える重要な役割を担います。
年表でつかむ重要トピック
- 古代:公地公民・班田収授/開墾地の私有化が進む
- 中世:荘園制・地頭の出現/重層的な支配と年貢
- 近世:石高制・検地帳/村落共同体が実務を担う
- 明治:地租改正・地券/近代民法・不動産登記の整備
- 戦後:農地改革で自作農化/都市化・区分所有の普及
- 現代:権利の多様化/所有者不明土地などの社会的課題
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