傾斜地の境界(筆界)はどこ?盛土・擁壁があっても変わらない境界の基本
「斜面に盛土をしたら境界線は動くの?」「ブロック塀の位置が境界?」——傾斜地は見た目で勘違いが起こりやすい場所。
この記事では、一般の方向けに境界の考え方をやさしく解説します。

まず結論(3つのポイント)
- 筆界は「法的に定まった土地と土地の境界」で、盛土や擁壁の有無で動きません。
- ブロック塀・フェンスなどの工作物は、目印にすぎず必ずしも境界を表しません。
- 斜面のある土地は見た目で判断しにくいため、図面と測量で確認することが安全です。
用語の整理:筆界・所有権界・占有界
境界トラブルの多くは「言葉の混同」から生まれます。
違いを簡単に押さえましょう。
筆界(ひっかい): 登記や公的資料で定まる、各筆(1区画)同士の法的な境界。原則として勝手に動かせません。
所有権界: だれの所有かを分ける境。売買や相続などで変わることがありますが、筆界と必ず一致するとは限りません。
占有界: 実際に使っている範囲の境。ブロックや生け垣の位置がこれに近いこともありますが、筆界とは別です。
傾斜地で境界はどこ?盛土・擁壁がある場合
斜面のある土地で一方が盛土(もりど)して平らにしているケースを想像してください。
見た目の角や擁壁の面に目がいきますが、筆界は「盛土する前から存在した地盤の境」にあります。
よくある誤解
- 擁壁の天端(てんば)=境界ではない
- フェンス・ブロックの芯=境界とは限らない
- 盛土で地面を広げても筆界は広がらない
なぜかというと、筆界は土地が分けられたときに公的に定められた線だから。後からの造成(盛土・切土・擁壁設置)で、見た目が変わっても、境界の位置は変わりません。
トラブルを避けるための確認手順
- 資料を集める:公図、地積測量図、登記事項証明書、造成図等。
- 現地を確認:既存の境界標(プレート・金属標・石)や、擁壁・フェンスの位置を記録。
- 測量で位置を特定:必要に応じて現況測量→(隣地と協力して)境界確定測量へ。
- 境界の合意形成:隣接地と立会いのうえ、筆界の位置を確認し、境界確認書に記録。
傾斜地は「上下方向のズレ」による錯覚が起きやすく、図面・座標で確かめるのが一番確実です。
やりがちNGと注意点
- 見た目だけで工事位置を決める(フェンスを越境設置してしまうリスク)。
- 古い目印を境界と思い込む(昔の杭・ブロックはずれていることがあります)。
- 造成前の図面を確認しない(盛土・切土で地形が変わっている場合は要注意)。
よくある質問
Q. 盛土した部分は全部「自分の土地」になりますか?
A. いいえ。筆界は造成前からの位置にあるため、盛土で見た目が広がっても筆界は動きません。
Q. ブロック塀や擁壁の位置が境界ですよね?
A. 必ずしも一致しません。工作物は目印にすぎず、境界は図面・測量・立会いで確認します。
傾斜地の境界で迷ったら
売買・リフォーム・擁壁工事の前に、筆界の確認をしておくと安心です。
図面の取り寄せから現地確認、隣接地の立会いまで、ワンストップでサポートいたします。
- 図面が手元にない → 取得代行OK
- 古い杭が見つからない → 現地調査で痕跡を確認
- 隣地との認識が違う → 立会いの段取りからご案内
ご相談・対応エリア
タケキヨ測量登記事務所は境界確定/表題・滅失登記/地積更正・地目変更/現況・確定測量などの業務を対応している千葉県船橋市の土地家屋調査士事務所です。相続や売買、建築前の境界の不明確さや不動産登記でお困りならご相談ください。
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