「筆界」「所有権界」「占有権界」の違いをやさしく解説
境界の言葉は似ているようで意味がちがいます。
この記事では、「筆界」「所有権界」「占有権界」をわかりやすく解説し、ズレが起きる理由と対処の流れをまとめました。

まずは用語の意味
筆界(ひっかい)=公的に決まった土地どうしの境
隣り合う「筆(1つの土地)」同士の法的・公的な境界。地図・図面・測量成果などをもとに、登記の世界で特定される線です。当事者の合意だけで動かせません。
所有権界(しょゆうけんかい)=持ち主の権利が及ぶ範囲
その土地の所有権がどこまで及ぶかという権利の範囲。筆界と一致しない場合もあります。
占有権界(せんゆうけんかい)=実際に使っている境
塀や生け垣など、日常の利用状況上の境。便利さや景観で動かされることもあり、公的な筆界とは別物です。
3つの違い(早見表)
| 項目 | 筆界 | 所有権界 | 占有権界 |
|---|---|---|---|
| 決まり方 | 公的資料・測量で特定 | 権利関係(契約・相続・時効など) | 現況の使用・工作物 |
| 当事者の合意で動く? | ×(合意だけでは不可) | △(合意・裁判等で変動あり) | ○(動かしやすい) |
| 登記との関係 | 登記実務の基礎 | 権利の範囲 | 登記とは無関係 |
| ズレやすさ | 低い | 中 | 高い |
ポイントは、境界立会いで確認するのは基本的に「筆界」だということ。所有権の争いを決める場ではありません。
ズレが生まれる主な原因
- 古い塀・生け垣が便宜上の位置にある(占有権界が筆界とズレる)
- 古い測量の精度・図面の種類の違い
- 相続・売買・時効取得などで所有権の範囲が変わった
- 道路工事・区画整理などで現況が変化した
よくある誤解
- 「お隣と話し合って線を決めればOK」…
筆界は公の境。合意だけでは動きません。話し合いは重要ですが、最終的には資料調査や測量で確認します。 - 「塀やブロックが境界」…
それは占有権界かもしれません。筆界=塀とは限りません。 - 「登記面積=現地面積」…
一致しないこともあります。必要に応じて測量・登記の見直し(例:地積更正登記)を検討します。
具体例でイメージする
例1:古い生け垣が内側に寄っていた
長年その位置で使っていたため占有権界は生け垣ですが、調査の結果、筆界はもう少し外側。ブロックの積み替えで現況を調整しました。
例2:お隣との口約束で境を変えた
合意書だけでは筆界は動きません。確かな図面・測量・適切な登記が必要です。
確認・解決までの基本手順
- 資料集め(公図・地積測量図・登記事項・過去の境界確認書など)
- 現地調査・仮測(既存杭・塀・マンホール等の把握)
- 隣地立会い(筆界を確認するための立会い)
- 必要に応じて図面作成・杭設置(境界標の復元)
- 面積の見直しや登記(例:地積更正登記、分筆登記 など)
※所有権の帰属そのものに争いがある場合は、専門家(弁護士等)と連携した進め方になります。
トラブル予防のコツ
- 売買・建築・相続の前に、資料調査と境界の確認を。
- 境界杭は抜かない・動かさない。損傷時は専門家(土地家屋調査士)に連絡。
- お隣との合意は書面化(境界確認書など)し、図面とセットで保管。
よくある質問
-
立会いで「筆界」と「所有権界」は同時に決めますか?
-
立会いの主目的は筆界の確認です。所有権の紛争は別手続になることがあります。
-
塀の位置が筆界と違いました。すぐ移動が必要?
-
事情により対応は異なります。まずは現況と資料の整合を確認し、関係者で協議。
-
面積が登記と違います。違法ですか?
-
違法ではありません。古い図面・測量差などの理由が多く、地積更正登記で是正するケースがあります。
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